技術指針紹介

評価の内容(申請資料に基づき、次の事項を確認している。)

  • 評価対象建築材料

    評価の対象とした乾式保護材は、標準仕様書9章2節に規定する乾式保護材としている。

    1)適用箇所等
    建築物の屋上アスファルト防水立上り部分の保護材に適用する。素材はセメント、繊維質原料等を主原料として板状に押出成形し、オートクレーブ養生した窯業系パネル及び金属板と樹脂を積層一体化させた金属複合板としている。 注)金属複合については、応募者なし

  • 品質・性能等

    1)材質
    規定された主要資材の材質及び製造メーカーから申請品の製造所への納入ルートを確認している。

    2)品質・性能
    下記の品質・性能について、実施要領に規定する試験機関等による試験結果を確認している。

品質・性
種類 原料による区分
  • 窯業系パネル-I 類
    (石綿を使用しない。耐衝撃性に優れ、寒冷地仕様のもの)
  • 窯業系パネル-II 類
    (石綿を使用しない。一般的な仕様のもの)
  • 金属複合板
寸法及び許容差   製作寸法 許容差
厚さ(mm) (表示項目) +10%、-5%
幅(mm) (表示項目) ±1%
長さ(mm) (表示項目)
品質 外観 割れ、貫通、き裂がない。
欠け、ねじれ、そり、異物の混入、汚れ、はく離など使用上支障がない。
含水率 窯業系パネルは、出荷時において含水率10%以下を確保していること。
性能   窯業系パネル-I 類 窯業系パネル-II 類 金属複合板
曲げ強さ
曲げモー
メント
(*1)
標準時 550N・cm以上 450N・cm以上 300N・cm以上
凍結融解
完了時
(サイクル数)
400N・cm以上
(300)
320N・cm以上
(200)
250N・cm以上
(300)
吸水率 20%以下 20%以下 1%以下
吸水による長さ変化率 0.07%以下 0.07%以下 0.01%以下
難燃性 不燃 不燃 表面材は不燃
耐凍結融解性能 300サイクル後、著しい割れ、剥離がなく、外観上の異常がないこと。 200サイクル後、著しい割れ、剥離がなく、外観上の異常がないこと。 300サイクル後、著しい割れ、剥離がなく、外観上の異常がないこと。(*2)
耐衝撃性能 質量1000gのなす形おもりを高さ1.0mから試験体の弱点部に落として、裏面に達する穴があかないこと。 質量500gのなす形おもりを高さ1.0mから試験体の弱点部に落として、裏面に達する穴があかないこと。 質量500gのなす形おもりを高さ1.0mから試験体の弱点部に落として、裏面に達する穴があかない。
残留変形量が1/100以下。
剛性(*3) 80000N・cm2以上
  • スパン40cmにおける単位幅1cmあたりの曲げモーメント
  • 明らかに吸水しかないと認められるものは耐凍結融解試験を省略出来る。
  • 剛性=E×I E:素材のヤング係数 I :製品の断面2次モーメント
    スパン40cm 幅30cmの中央曲げ時に荷重720Nの時、たわみが4mm以下となる剛性
  • 試験寸法

    1)寸法の測定方法
    (厚さ)
    供試体の周辺から20mm以上内側の四隅を0.05mmまで測定出来る測定器で測り、4点の平均値を求めてパネルの厚さとする。
    (幅)
    供試体を平らな台に置き、供試体のほぼ中央1箇所の幅寸法を、JIS B 7512 (2018)「鋼製巻尺」に規定する目量が1mmの1級コンベックスルール又は、JIS B 7516(2005)「金属性直尺」に規定する目量が、1mmの1級直尺を用いて測定する。

    2)曲げ強度試験は、JIS A 1408(2017)「建築用ボード類の曲げ及び衝撃試験方法」による。試験体は3号試験体とする。
    幅及び厚さは製品寸法とし、支持スパン長さは400mmとする。試験方法は試験体の表面からスパン中央全幅に集中荷重を載荷し、試験体が破壊した時の最大荷重を測定する。同時に破壊時の中央部のたわみ量について、変位計を用いて測定する。測定項目については、凍結融解試験前と同試験100、200、300サイクル完了後の合計4項目にわたって測定する。(窯業系パネルII 類は200サイクルまでとする。)
    なお、荷重を加える時の平均速度は、1~3分間で予想最大荷重に達する程度とする。

    3)吸水率試験は、JIS A 5430(2018)「繊維強化セメント板」に準じて行う。

    4)難燃性の試験は、JIS A 1321(2011)「建築物の内装材料及び工法の難燃性試験方法」に準じて行う。

    5)吸水による長さ変化率試験は、試験体(幅40mm×長さ160mm×素材厚さ)を乾燥機に入れ、その温度を60±3℃に保ち24時間経過した後、取り出してJIS K 8123(2018)「塩化カルシウム(試薬)」に規定する塩化カルシウム又はJIS K 1464(1962)「工業用乾燥剤」に規定する品質に適合するシリカゲルで調湿したデシケータに入れ、常温まで冷却する。次に、試験片の標線間隔が140mmになるように標線を刻む。
    その後、1/150mm以上の精度をもつコンパレータを用いて標線間の長さを測定し、それを基準(L1)とする。次に試験片の長さ方向を水平にこば立てし、その上端が水平下約30mmとなるように保持して、常温の水中に浸せきする。
    24時間経過した後、試験片を水中から取り出して湿布で表面に付着した水を拭き取り、再び標線間の長さ(L2)を測る。

    水による長さ変化率(ΔL)は、次式によって求める
    (ΔL)=(L2-L1)/L1×100  ΔL:吸水による長さ変化率(%)
     L1:乾燥時の標間長さ(mm)   L2:吸水時の標線間の長さ(mm)

    6)耐凍結融解性能試験は、JIS A 5422(2014)「窯業系サイディング」の気中凍結水中融解法によって行う。100、200、300各サイクル完了時の曲げ強度測定及び外観の状態を観察する。(窯業系パネルII類は200サイクルまでとする。)
    凍結融解操作の試験条件は、試験片の切断小口面をあらかじめシールし、5~35℃の清水中に24時間浸せきさせた後、凍結融解試験装置の槽内に設置し、-20±3℃の気中で約2時間の凍結、20±3℃の水中で約1時間の融解を行う約3時間を1サイクルとする。

    7)耐衝撃性能試験は、JIS A 1408 の衝撃性試験に準じて行う。試験体の支持装置は、記号S2対辺単純支持方法による。
    試験体の大きさは、4号(長さ400mm、幅300mm)とする。おもりは、鋼製のなす形おもりとし、記号(W1-1000)、質量1,000gとする。試験体を支持装置で支持して、堅固な床に水平に置き、おもりを試験体のほぼ中央の鉛直上1.0mから試験体の弱点部に自然落下させ、裏面に達する穴の「有・無」を確認する。
    金属複合板の残留変形量は、最大くぼみ深さを測定する。